
サイエンス誌(Science)に掲載された日本人著者からの日本語タイトルとコメントを紹介します
中心対称スキルミオン磁性体におけるフェルミ面ネスティングが誘起する擬ギャップとフェルミアーク
Pseudogap and Fermi arc induced by Fermi surface nesting in a centrosymmetric skyrmion magnet
SCIENCE 8 May 2025, Vol 388, Issue 6747
【日本人著者の方より】
スキルミオンとは、電子のスピンが渦状に巻いたナノスケールのトポロジカル磁気構造であり、次世代の磁気デバイス媒体として注目されています。本研究では、世界最小サイズのスキルミオンを形成する磁性体に対して角度分解光電子分光(ARPES)実験を行い、スキルミオン格子の形成にフェルミ面のネスティングが直接寄与していることを明らかにしました。東京大学物性研究所
東京大学トランススケール量子科学国際連携研究機構
近藤 猛
2,3-ジヒドロベンゾフランの光化学的骨格転位を経由するアシル基の1,2-トランスポジション
1,2-Acyl transposition through photochemical skeletal rearrangement of 2,3-dihydrobenzofurans
SCIENCE 8 May 2025, Vol 388, Issue 6747
【日本人著者の方より】
トランスポジションは、化合物の骨格を変えずに置換基の位置を移動させる反応です。今回の研究では、光化学的骨格転位を活用することで、アシル基のトランスポジションが様々な2,3-ジヒドロベンゾフラン骨格において進行することを見出しました。
DEPARTMENT OF CHEMISTRY, UNIVERSITY OF CALIFORNIA
藤生 基弘
Convergent acquisition of disulfide-forming enzymes in malodorous flowers
SCIENCE 8 May 2025, Vol 388, Issue 6747
【日本人著者の方より】
肉や糞のような臭いで昆虫を騙し、花粉を運ばせる腐肉擬態花の存在は、植物の驚異的な進化の典型例です。今回の研究では腐肉擬態花が臭い成分ジメチルジスルフィドを生み出すメカニズムを解明し、またその機能獲得がわずかなアミノ酸置換でもたらされることを実験的に示すことに成功しました。国立科学博物館植物研究部・筑波実験植物園
東京大学大学院理学系研究科
奥山 雄大
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