ブログ

  • 東京しごとセンターの「JOBフェスタ」に出展しました!

    2月14日(火) 弊社アスカコーポレーションは東京しごとセンター主催の就活イベント「JOBフェスタ」に出展いたいしました!

    IT企業などが数多い中で「翻訳会社」というのは珍しかったようで、多くの求職者様とお話する機会をいただけました。
    ASCAでは、翻訳コーディネーター、メディカルライティングコーディネーター、営業など、幅広く社員を募集しております。

    JOBフェスタ冒頭の企業プレゼンテーションの様子。

    一緒に成長できる社員を大募集しています。

    私たちASCAは、医薬・ライフサイエンス分野における、Total Solution Provider No. 1を目指しています。その実現に向けて、広くさまざまな経験やバックグラウンドを持った人材と働きたいと考えています。

    https://www.asca-co.com/recruit/index.html

  • AAASのパブリッシャー、Bill Moranが来日しました!

    AAAS(米国科学振興協会)のパブリッシャー、Bill Moranが来日し、アスカコーポレーションの東京支店で会議をしました。

    Science Japan Officeのメンバーと記念撮影

    ASCAは1997年からScienceの翻訳を担当し、現在では日本の広告代理店でもあります。

    Bill Moranとのミーティングでは、Science Cafeの成果や広告ビジネスの実績・今年の見通しなどだけでなく、投稿する人が投稿費を払い、読者は無料で論文が読める、というオープンアクセス(OA)の世界状況や課題についても話題にもおよびました。

    2月28日(火)には第28回のScience Cafeが開催されます。テーマは「遊泳する最小の合成細菌」です。
    Cafe開催以来、初の大学院生によるプレゼンテーションです。是非ご登録ください。

    https://note.asca-co.com/n/n6112b17b020f

    これからもScienceとのユニークな取り組みにご期待ください!

    https://asca-co.com/business/science.html

  • AI翻訳という技術について

    皆様は「AI翻訳」という技術について、ご存知ですか?

    AI翻訳とは

    AI翻訳は、機械翻訳または自動翻訳とも呼ばれ、言語をコンピュータを用いて変換する技術です。近年になってAI翻訳と呼ばれるようになったのは、その基盤技術として人工知能(AI)を用いているためです。

    かつての機械翻訳は、長い文章の処理は苦手であり、いかにも機械が処理したようなぎこちない翻訳文しか出力できませんでした。しかしAIの代表的技術である深層学習(ディープラーニング)を取り入れることによって、翻訳文の流暢さがあたかも人間が使う言葉のように改善されました。また長い文章の翻訳精度も向上しています。

    AI翻訳は多くのウェブブラウザに採用され、海外のウェブサイトを閲覧する用途など一般の人にも幅広く使われるようになってきました。もちろんどのような言語、いかなる文章でも完璧に訳せるというわけではありませんが、多言語コミュニケーションの可能性を広げる次世代のツールとして期待されています。

    AI翻訳の品質

    AI翻訳の翻訳品質が劇的に向上したのは、深層学習(ディープラーニング)と呼ばれるAI技術の貢献が非常に大きいです。深層学習は人間の脳神経ネットワークを模した多層構造の計算アルゴリズムであり、既存のデータからその特徴を学び、階層構造を持った推論モデルを作ります。翻訳だけでなく、他の自然言語処理や音声・画像処理にも幅広く活用されています。

    AI翻訳を開発するには、この深層学習モデルを構築するための大量の学習データが必要になります。翻訳の学習に使うのは翻訳のデータです。すなわち、2言語がペアになった文章(パラレルコーパス)を用意することになりますが、その量と質がAI翻訳の品質を左右します。

    一般に利用されているAI翻訳システムは、ウェブ上などから大量の学習データを取得していることが多いのですが、そのデータは特定の分野や用途に合わせたものではありません。したがって、これらのシステムでは特定の分野、特に専門性の高い分野ではあまり翻訳精度は高くなりません。専門分野固有の語彙や表現をうまく出力するには、それに合わせたパラレルコーパスを用意し、学習させる必要があります。

    AI翻訳と関連技術

    AI翻訳は技術的には機械翻訳と呼ばれ、自然言語処理技術のひとつの応用型となります。自然言語と言っても、大学の文学部などで取り扱う言語学ではなく、コンピューターサイエンスに含まれます。つまり自然言語というのはコンピュータ言語に対する言葉であって、人間が用いる言語をどのようにコンピュータ上で表現するかということを追求する学問になります。

    自然言語処理技術のなかでも、AI翻訳はいちはやく社会実装が進んだ技術のひとつです。そして同時に、とくにAI技術の進歩によって他の自然言語処理技術も盛んに研究が進んでいます。その最たるもののひとつが、検索技術でしょう。「ググる」という表現がもう定着してしまっているように、現代の生活で検索をすることは私たちの日常に溶け込みつつあります。かつては図書館に行って調べたりしなければいけなかったことが、いまではほとんどスマホからの検索で事足ります。そして検索技術そのものも、インターネット初期の頃は単純なテキスト検索しかできなかったものが、いまや画像検索、サジェスト検索など機能も格段に進歩しています。これらの進歩の背景には、AIを中心とした基盤技術の発展があるのですね。

    翻訳により近いところでは、音声翻訳も隣接技術に挙げることができます。音声翻訳とテキスト翻訳の違いは、人間の話したことが翻訳データになることです。実際には音声翻訳は音声認識→機械翻訳→音声出力という主に3つの技術の組み合わせです。音声認識は、音波データからノイズを避けて人間の言葉を取り出し、テキストデータに変換します。音声出力は、翻訳したテキストデータを自然なイントネーションになるように分析し、音声として出力します。その他にも、チャットボットやテキスト要約など新しい技術も自然言語処理技術から生まれており、未来の私たちの生活を彩っていくことでしょう。

    ITとAI翻訳

    AI翻訳はすでに私たちの日常に浸透していると言っていいでしょう。ウェブサイトを見ていても、外国語で書かれていれば翻訳アイコンをクリックすれば日本語に変換されますし、海外旅行をするときも翻訳機を持っていけばボタンひとつで私たちの代わりにしゃべってくれます。これらのことはスマホでもできるようになりつつあります。

    ではAI翻訳はどこで何をしているのでしょう?AI翻訳が行っているのは膨大な計算です。人間のように文章の意味を理解し、外国語でそれに対応する表現を調べ…という方法で翻訳をしているのではなく、AI翻訳はテキストを数値に変換し、それを計算によって他言語に置き換える処理をしています。したがってAI翻訳の実体はその計算を行うためのAIアルゴリズムであり、それに基づいてコンピュータは演算処理をします。

    そして多くの場合、翻訳処理はPCやスマホに内蔵の演算器を使うのではなく、外部サーバーに計算を任せています。PCなどの端末からは、翻訳元のテキストデータをインターネット経由で外部サーバーに送信し、翻訳結果をまた外部サーバーから受け取るという処理を行っています。なぜなら翻訳の計算量はきわめて膨大であり、そのために設計した高演算力を持つサーバーに処理を任せたほうがよいからです。このようなサービスはクラウドサービスと呼ばれます。「クラウド」という名前がかなり普及しているように、この仕組を利用したウェブサービスは現在の私たちの社会生活の基盤となっています。

    このようにAI翻訳は機械的計算とインターネット通信を前提にした技術です。翻訳はかつては辞書と原稿用紙を用いた紙の仕事でしたが、いまではITインフラ環境と切っても切り離せない関係になっています。

    アスカコーポレーションのAI翻訳についての取り組みは下記URLよりご覧いただけます。

    https://www.asca-co.com/business/machine_translation.html

  • Science Update 3 Feb, 2023

    サイエンス誌(Science)に掲載された日本人著者からの日本語タイトルとコメントを紹介します。

    Single–carbon atom transfer to α,β-unsaturated amides from N-heterocyclic carbenes
    N-複素環式カルベンからα,β-不飽和アミドへの単一炭素原子の移動

    有機化学における人気者であるN-ヘテロ環式カルベンの、誰も知らなかった一面に出会えたのは幸運としか言いようがありません。一方で、炭素原子移動反応として本研究がデビューできたのは、共同研究者達の知性とハードワークの賜物であることも疑いありません。

    SCIENCE 3 Feb, 2023, Vol 379, Issue 6631

    大阪大学大学院工学研究科 応用化学専攻
    鳶巣 守

    https://www.science.org/doi/10.1126/science.ade5110

  • 英語論文作成のためのAI翻訳ツールの活用:AIに頼っていいこと、いけないこと

    2023年1月11日、第2回AAMTセミナー「理⼯系の英語論⽂執筆における課題とAI⾃動翻訳ツールの活⽤」というタイトルで、タシケント工科大学 副学長の西山聖久先生によるセミナーが開催された。AAMT理事、セミナー委員として2回目の企画である。昨年「理⼯系のAI英作⽂術 誰でも簡単に正確な英⽂が書ける」という実用書を化学同人から出版されていて、とても分かりやすく説明されているので講師をお願いした。

    MT(機械翻訳)を英語の論文作成に使うことは目新しいことではないが、出来ること、出来ないことを見極め、論理的、効果的に説明できるのが西山先生である。名古屋大学で留学生のケアや国際化、論文指導を長年携わり、今はウズベキスタンにあるタシケント工科大学で教育改革にいそしんでおられるというからただものではない。

    そもそも日本人が英語論文を書かないのは、英語が苦手ではなく、周りの人に相談しすぎて混沌とし、収拾がつかなくなってしまうのではないか、まずはアウトラインの共有が重要である、と。そのために、VE(価値⼯学:Value Engineering)、TRIZ(発明的問題解決⼿法)による問題解決の⼿順を取り入れた論文アブストラクトライティングのテンプレートも紹介下さった。テンプレートで組み立ててから、チーム、先生などと合意すれば後は英語化するだけである。

    英語で重要なのは3C。3C(Clear:明確、Correct:正しい、Concise:簡潔)の実現のためには、(1)誤りが無い英⽂を書く、(2)出来るだけ少ない語数にする、(3)名詞を意識して扱う、など。根拠のある英文を考えていくだけで英語力も上がる。

    そもそもMTから出力される英語は3Cを意識している。
    能動態(SVOの⽂型)を使うし、少ない語数で組み立ててくれる。
    It…to…、It…that…構⽂はめったに使わないし、There is…、there are…、If …や when…もあまり使わない、のだと。事例はGoogle翻訳からの資料ではあったが、他のエンジンも同様だそう。
    MTを使えば、カタカナ英語も正しく訳してくれるし、語数も少ないし、名詞を効果的に使ってくれるから、今やMTを使うしかない。

    一方、AI⾃動翻訳はかなり有能ではあるが、以下についてはAI⾃動翻訳に頼ってはいけない、と。(1) 名詞の扱い⽅の⼀貫性、(2) 能動態、受動態のどちらにするかの判断、(3) ⻑い⽂章の英訳、(4) 専⾨家としてのあなたのこだわり、とか。頼ること、自分で考えること、判断することが活用のポイントだ。

    実践パートでは、大学の入試問題の実例も交えながら、わかりやすく、とても説得力がある内容だった。
    是非先生の本、「理⼯系のAI英作⽂術 誰でも簡単に正確な英⽂が書ける」を読んでみてほしい。

    https://www.amazon.co.jp/%E7%90%86%E5%B7%A5%E7%B3%BB%E3%81%AEAI%E8%8B%B1%E4%BD%9C%E6%96%87%E8%A1%93-%E8%AA%B0%E3%81%A7%E3%82%82%E7%B0%A1%E5%8D%98%E3%81%AB%E6%AD%A3%E7%A2%BA%E3%81%AA%E8%8B%B1%E6%96%87%E3%81%8C%E6%9B%B8%E3%81%91%E3%82%8B-%E8%A5%BF%E5%B1%B1-%E8%81%96%E4%B9%85/dp/4759821678?asin=B0B11W4MNR&revisionId=&format=2&depth=1

    今回は理系の英語論文作成の話ではあったが、AI翻訳の活用は、どの領域でも共通している。次回は3月、IRの英語化についてである。
    第3回AAMTセミナー「海外投資家を引き付ける英文IR コストや時間をかけない自動翻訳の活用~日本語のみの開示で公平・公正・適時という開示の原則に沿っていると言えるか~」

    IRこそ、時間との勝負である。
    時間とコスト削減を実現している、IR現場のエキスパートが登場する。
    活用の知恵を是非聞いてみたい。

    https://www.aamt.info/event/seminar/20230309

    AAMT https://www.aamt.info/
    AAMTセミナー https://www.aamt.info/event/seminar
    第2回AAMTセミナーhttps://www.aamt.info/event/seminar/20230111
    医薬文書に特化したAI翻訳エンジンAiko Scilingual 

    https://www.asca-co.com/special/aiko/

    (石岡映子)

  • Breakthrough of the Year 2022:奇跡の宇宙望遠鏡から未来が見える

    Breakthrough of the Yearの日本語訳版は下記URLからご覧いただけます。

    https://www.science.org/content/page/japanese-translation-breakthrough-year

    2022年の最も革新的な研究テーマとしてScienceが選んだテーマは、「黄金の『目』で宇宙を見る(Golden eye)」である。
    JWSTと呼ばれる新しい宇宙望遠鏡が、産みの苦しみの期間を経てついに華々しいデビューを飾ったのだと。バイデン大統領はホワイトハウスからの生中継で、新しい宇宙望遠鏡がとらえた初の画像を公開し、この望遠鏡を「奇跡」と表し、世界中の何百万人もの人々とともに、何千もの銀河が密集する様子に驚嘆したという。
    宇宙科学史上で最も複雑なミッションであるうえにコストも100億ドルと最高額、地球上での建設に20年以上を要し、150万キロメートルに及ぶ宇宙空間を1ヵ月にわたり飛行している間にも何度も新たな難関が待ち受け、合計344にものぼる重要なステップに取り組んだ結果である。JWSTはわずか十数時間のうちに、5千万年古い銀河と、1億年古いと思われる銀河を発見したが、確認作業は始まったばかりである。宇宙の果てにある銀河の「ゆりかご」をのぞき込めることが示されたというから衝撃的である。
    JWSTが系外惑星の大気を今後も探査し続ければ、こうした未知の星について新たな驚くべき事実がもたらされるだろうし、2040年代になっても燃料が残っているというから心強い。

    その他9つの革新的なテーマも発表された。
    まず、「多年生イネが農業を楽にする技術について(Perennial rice promises easier farming)」。世界中の主要な食用作物である、米、小麦、トウモロコシなどの収穫のための、農民による何週間におよぶ植え付け作業を開放できる品種改良が実現したというから驚きだ。

    次に、「AIが創造性をもつ(AI gets creative)」という研究。人工知能(AI)は芸術的な表現や科学上の発見など、かつては人間にしかできないと考えられていた分野に進出しているようだ。この技術は、当初はゆっくりとした動きだったが、昨年になってついに人間のお株を奪ってしまったらしい。

    「驚くほど巨大な微生物(A surprisingly massive microbe)」が発見されたとも。複雑な内臓を持つ巨大な細菌が発見され、生物学に衝撃を与えた、と。チオマルガリータ・マグニフィカ(Thiomargarita magnifica)と名付けられたこの微生物は押しピンほどの長さがあり、多くの細菌細胞よりも5,000倍大きい。フランス領アンティルのマングローブの沼地の枯れ葉の表面で発見された。細菌には、他の細胞に見られる内部輸送システムがなく、栄養素や老廃物の移動を拡散現象に任せているため、小さいサイズであることが必要だと研究者たちは考えていたらしいが、今回の発見で、様々な細菌の可能性について研究が進むことになる。

    また、「RSVワクチンがゴール間近(RSV vaccines near the finish line)」というニュースも嬉しくなる。呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対する2つのワクチンの大規模臨床試験によって、これらのワクチンが、感染症によって最も大きな打撃を受ける2つの集団、すなわち乳児と高齢者を安全に保護できることがついに示された。いずれのワクチンも、60歳以上の高齢者において、重篤な副作用を引き起こすことなく、重症疾患を予防した。1つのワクチンはさらに、妊娠後期の母親に投与して、抗体が胎児に移行するようにした場合、6ヵ月にわたり乳児を保護したという。50年前の実験的候補ワクチンの臨床試験の反応には問題があったが、原因を突き止めながら研究チームは、新しい手法を編み出した。GSK社とPfizer社が実施した今年の試験から報じられた良い結果によって、この戦略が正しいことが示され、Janssen Pharmaceuticals社とBavarian Nordic社は、それぞれ独自の高齢者向けRSVワクチンの有効性試験を実施中であり、いずれのワクチンも、開発の初期段階で良好な成績を示しているというから、母親へのワクチン接種が可能になる日は遠くない。

    「ウイルスが多発性硬化症の原因と判明した(Virus fingered as cause of multiple sclerosis)」というニュースも衝撃的だ。研究者らは、膨大な量の軍の医療記録に基づいて、一般的なヘルペスウイルスの一種が、免疫系により神経細胞が攻撃を受ける疾患である多発性硬化症(MS)において不可欠な役割を果たすことを明らかにした。今回の知見は、この謎の疾患に対して治療または予防を行う新たな方法につながる可能性がある。多発性硬化症の患者は世界中に280万人おり、軽度の症状(霧視、疲労、しびれなど)を示す患者もいる一方、徐々に会話や歩行ができなくなる患者もいる。今回の研究で、現在臨床試験が行われているEBウイルスに対するワクチンの1つがもし有効であることが示され、世界中の子供たちに投与されるなら、いつの日か多発性硬化症も、ポリオのように事実上根絶されるかもしれないという。

    「米国で画期的な気候法が可決される(United States passes landmark climate law)」というニュースに驚きながら、期待もする。

    また、「小惑星の軌道変更(Asteroid deflected)」も興味深い。
    小惑星ディモルフォスは、今年実施された惑星防衛システム実証実験の標的であるが、冷蔵庫サイズの宇宙機を衝突させた衝撃力によって、ディモルフォスの軌道変更に成功したという。

    「200万年前のDNAから古代の生態系を復元(Ancient ecosystem reconstructed from 2-million-year-old DNA)」したという。
    最近まで、DNAの保存可能期間は約100万年間とされ、それ以前よりもはるか昔の遺伝物質は著しく劣化するため、解読は極めて難しいだろうと考えられてきた。2022年、少なくとも200万年前に遡る小さなDNA断片群をグリーンランド動植物極地砂漠の凍土から抽出された。研究者らは、環境DNA(eDNA)には失われた世界を復元する力があることを実証したという

    いくつかの「BREAKDOWNS」ニュースもある。
    「ゼロコロナ政策はすでに機能していない(Zero COVID no longer works)」として北京などの都市では11月、人々は政府の厳しいゼロコロナ政策に対して街頭デモを行った。
    当初、中国のゼロコロナ政策は成功だった。しかし時が経つにつれて、その厳しいロックダウン政策によって中国経済は圧迫され、国民の不満も鬱積した。この政策はまた、公衆衛生にとってはほぼ間違いなく有害無益であった。政府は12月、遅まきながら制限緩和に乗り出したが、正式にはゼロコロナ政策をやめたわけではない、と。

    「科学は緊張関係にある国々を結び付ける(Science ties fray)」として、欧米と中国の緊張関係や、ヨーロッパとウクライナ、ロシアの問題である。研究が中止、縮小などだけでなく、大国の首脳たちは、共同研究に門戸を開けているようにも見え、こうしたが進んでいる側面も紹介されている。クリーンエネルギーへの支出が世界で今後10年間、少なくとも50%増加するとアナリストたちは推定するが、世界のエネルギー市場の予測は危険な状態になっているとも指摘している。

    以上。今回は翻訳文をそのまま引用させていただいた個所も多い。わかりにくい英語をここまで読みやすく翻訳してくださった翻訳者、チェッカー、校正者に感謝申し上げたい。
    機械翻訳をかければ文章はそれなりに読めるが、専門知識をもたない私たちが理解するには苦しい。翻訳者でないとできないことが多い、と再認識した次第である。

    日本語翻訳文は下記

    https://www.science.org/content/page/japanese-translation-breakthrough-year

    原文は下記

    https://www.science.org/content/article/breakthrough-2022

  • 【終了しました】第28回Science Café 遊泳する最小の合成細菌

    Science Cafeのご案内

    Science Café はScienceまたは姉妹誌に研究論文等投稿が掲載された日本の研究者の方にZoom Webinarによるライブ配信にて講演して頂くイベントです。

    研究内容の解説に加え、研究にまつわるエピソード、社会に与える影響や提言を交えてお話して頂きます。Q&Aセッションも設けております。参加は無料です。

    日  時:2023年2月28日(火)14:00~14:40(予定)
    タイトル:遊泳する最小の合成細菌
    演  者:木山 花 先生
                      大阪公立大学大学院理学研究科 後期博士課程2年

    概要

    歩く、走る、泳ぐ、など運動能は私たちにとってとても重要なものです。細菌などの微生物にとっても運動能は重要な生存戦略の1つです。しかし、生き物がどのようにして運動能を獲得したかはいまだ明らかになっていません。私たちは、らせん形のからだを反転して泳ぐ細菌の運動能に関与していると考えられるタンパク質を、生存に必要な最小の遺伝情報のみをもつ合成細菌に発現させました。本研究によって、細菌アクチンであるMreBタンパク質たった2つによって、合成細菌が元の細菌とよく似た形態と遊泳運動を示すことがわかりました。「自ら動く最小の生命体」と呼べる泳ぐ合成細菌の研究をさらに進めることで、細胞運動の進化についても議論したいと考えています。

    掲載号:Science Advances 2022年11月30日号

    “Reconstitution of a minimal motility system based on Spiroplasma swimming by two bacterial actins in a synthetic minimal bacterium”
    SCIENCE ADVANCES, 30 Nov 2022, Vol 8, Issue 48 DOI: 10.1126/sciadv.abo7490

    大阪公立大学大学院理学研究科 宮田真人教授 研究室HP
    https://www.sci.osaka-cu.ac.jp/~miyata/

    お申込み

    以下のURLよりお申込みください。

    https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_F06QwjAVTwOD0WJURJ_qIw

    ご登録いただく際、名、姓の順での記載となっておりますのでご注意下さい。また、確認メールにおいて敬称が省略される場合がありますことを予めご了承ください。
    *定員になり次第、締め切りよりも前に締め切る場合がございますので、予めご了承ください。

    お問合せ先
    Science Japan Office  担当:ランベッリ律恵
    E-mail: science_cafe_japan@asca-co.com

  • 翻訳者・社会人の健康管理の基本は“自分ファースト”! :JTF関西セミナーより

    新年1月12日、「自分の心身を自分で守ろう!フリーランス翻訳者のための健康管理術」と題し、「第3回JTF関西セミナー」が開催された。翻訳者と翻訳会社社員のための健康管理術について、熊本大学大学院生命科学研究部 神経精神医学講座 准教授 朴秀賢先生から、女性ホルモンと女性の健康について、一般社団法人SRHR Japan代表(SRHR:Sexual and Reproductive Health and Rights)、NPO法人女性医療ネットワーク副理事長、京都大学医学部附属病院の女性ヘルスケア外来を担当されている池田裕美枝先生から、月経痛、PMS、更年期障害についてのお話をいただいた。

    翻訳者などのフリーランスという職務形態の人たちは、深夜も仕事をし、つい無理をして仕事を受けてしまいがちである。体が資本なのに、朝から一日も外に出ない、しゃべらない、健康診断は後回し、などの人も多い傾向にある。産業医でもある朴先生から、翻訳者だけでなく、テレワークが中心になっている会社で働く社員たちも不調を訴えることが多い、と。
    外出せず運動量が少ないことに起因する問題がメタボリック症候群、不眠につながり、同じ姿勢でモニターを長時間見続けることに起因する問題として情報機器作業の影響が大きい。朝日を浴びる、体重を増やさない、継続的な運動がまずは重要。
    何より、早期発見・治療が不可欠であるがんを放置しないために、がん検診が必要だと医学的視点で様々な検診を紹介下さった。

    翻訳者は女性が多いが、女性特有の健康管理も重要である。池田先生からは、女性のホルモンステージを、20~30歳くらいで女性ホルモンレベルはピークを迎え、40歳台を過ぎるとやがて更年期、50歳前後で閉経を迎えるが、閉経が終わって5年もすれば更年期の症状も収まり、電通の調査では60歳台が最も体調がいいのだという。女性は、家族のため、仕事のためにいろいろ無理をして、病院に行くことをためらう人が多いが、プロの意見を聞くことが重要で、向き合う重要性を説いてくださっていた。

    朴先生は、研究者として20代で科学誌Scienceの著者の一人として名前が載っていた人並外れた研究者、医師であり、専門医としてだけでなく、産業医としても大人気の先生である。池田先生は、年末の朝のNHKで、「セックスはエロイものでなく、人生を豊かにするもの」とおっしゃっていたユニークで素敵な医師である。誰よりお忙しいお二人なのに、私たちのために、健康で豊かに生きる術、技を紹介、説明くださった。心から感謝を申し伝えたい。

    人のために、家族のために、会社のために働くことはだれも幸せにしない。
    健康管理は自分のためだけでなく、社会貢献である。
    自分のことを後回しにする人はやばい。
    自分ファーストになる、犠牲にならない。

    ちなみに60台の私はすこぶる体調もいい。早寝早起き、先生方が今日お薦めされたアドバイスを大概実行している。若いころ、無理して我慢して、ろくなことはなかった。
    無理してでも頑張るべし、でなく、社会人として、自らの能力を十分に発揮するために、翻訳者の方だけでなく、働く皆に「自分のコンディショニング=健康管理」を実践してほしいと心から願っている。

  • Science Update 6 Jan, 2023 No.2

    サイエンス誌(Science)に掲載された日本人著者からの日本語タイトルとコメントを紹介します。

    Immotile cilia mechanically sense the direction of fluid flow for left-right determination 不動繊毛はノード流の流れの向きを機械的に感知して左右軸を決定する

    光ピンセットと先進的な光学顕微鏡により、ノード不動繊毛が「向きを感知する」新しいタイプのメカノセンサーとして、心臓が左にあるといった左右軸を決定する機構を解明しました。

    SCIENCE 6 Jan, 2023, Vol 379, Issue 6627

    理化学研究所 生命機能科学研究センター 個体パターニング研究チーム
    基礎科学特別研究員
    加藤 孝信

    https://www.science.org/doi/10.1126/science.abq8148

  • Science Update 6 Jan, 2023 No.1

    サイエンス誌(Science)に掲載された日本人著者からの日本語タイトルとコメントを紹介します。

    Past history of obesity triggers persistent epigenetic changes in innate immunity and exacerbates neuroinflammation
    過去の肥満はエピジネティック変化として自然免疫細胞に記憶され、後年に神経炎症を引き起こす

    一度太ると、痩せた後も自然免疫細胞が肥満を「記憶」しており、神経炎症や加齢黄斑変性の増悪リスクは継続することを発見し、そのメカニズムを突き止めました。

    SCIENCE 6 Jan, 2023, Vol 379, Issue 6627

    Department of Ophthalmology, Maisonneuve-Rosemont Hospital Research Centre, University of Montreal
    畑 匡侑

    https://www.science.org/doi/10.1126/science.abj8894