
■ Opening / オープニング
演題:AAAS and Science Publishing – Latest Global Trends(AAASと科学出版-最新のグローバルトレンド)
演者:Bill Moran(ビル・モラン)
Publisher of the Science Family of Journals
冒頭で、会議に参加しているAAASおよびScienceの主要メンバーである、編集長のHolden Thorp、コミュニケーションディレクターのMegan Phelan、国際協力担当アソシエイトディレクターのRoger Goncalves、そしてEurekAlertのディレクターであるBrian Lynnを紹介し、いずれも聴衆との個別の対話に応じる用意があると伝えた。

Moranは、AAASの使命主導型のアプローチを強調し、科学の進展と社会への貢献に焦点を当てていることを説明。彼は、米国の科学政策に取り組むために立ち上げられた「VAST: The Vision for American Science and Technology」イニシアチブを紹介した。この取り組みは、CEOのSudip Parikhと他の業界リーダーによって主導されており、強靭で柔軟な人材を育成し、科学技術の潜在力を最大限に引き出すことで、世界的な競争力と国家安全保障を高めることを目的としている。Moranは、このVASTが日本や他国にとっても、現在の科学的課題に取り組むためのモデルとなり得ると提案した。

URL: https://www.vastfuture.org/
さらにMoranは、変化する世界の科学情勢について言及し、特に中国がGDP比で研究開発に注力している点を挙げ、これに対して米国では相対的に割合が低下していることを指摘した。
彼は、イノベーションに不可欠であるにもかかわらず、現在十分な資金が投入されていない基礎研究の重要性を強調した。また、研究の安全性を確保しつつ、開かれた効率的な政策の必要性についても述べた。加えて、日本における人材の確保と維持の課題について触れ、国際的な学生を受け入れることが労働力強化の戦略となり得ると提案した。
さらにMoranは、「科学外交」という概念を紹介。これは、科学を国際的な協力と対話の手段として活用するものである。彼は、英国王立協会と共同で進めている「混乱の時代における科学外交」をテーマとしたプロジェクトについて言及した。このプロジェクトは、各国政府が政策を議論し、国境を越えた科学の推進を目指すものであり、国際協力の重要性を強調するものである。

最後にMoranは、科学の進展と地球規模の課題への対応には協力が不可欠であると改めて強調した。そして、ヘレン・ケラーの言葉「Alone, we can do very little, but together we can do a lot(一人ではほとんど何もできないが、共に力を合わせれば多くのことができる)」を引用し、科学コミュニティにおける協働の必要性を訴えて講演を締めくくった。
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